旅のガイド

今日の臨床。

日々の気づきを、臨床へ汎化するための勝負 。

 

 

 

対象者は、

「PC作業で、左肩甲骨周りがいつも辛くなる」

「右の股関節の外側もよく張る」

という主訴で、紹介来店された60代 男性教員。 

  

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右アキレス腱断裂、縫合術の既往。 

 

座位

・左臀部荷重ができてない

・右に傾倒、大腿の外で床を押す

・左肩甲骨がバランスを補償

 

歩行でも、左股関節の不参加が顕著。

 

 

努力している部位が主訴と一致。 

ただ既往を考えると、なぜ右優位?少し引っかかっていた。

 

 

 

 

 

・・まず、ご本人は自覚しているだろうか?

 

座位のまま左右の足底で床をゆっくりと踏んで頂く。

そして、その努力感や動きの容易さに左右差はあるか?

という問いを投げた。

 

 

「そうそう、いつもね、左足は床についてないかもね。右ばっかりにもたれてるから。」と自覚はあった。

 

 

 

 

なのでGoalは、

この習慣的パターン以外の、座位の選択肢(左側への荷重感)を。そして、それが肩や首の努力感の変化へ繋がる。

 

そんな気づきの場を提供したい…!

 

 

 

 

 

…と、ここで思い留まる。

 

そもそも何故、このパターンが作られたのか?

このパターンの意図、このパターンに至った文脈はどこにあるのか!?

 

 

そこに興味が湧き、間をとる。雑談してみる。

行き先が決まったら すぐに進みたがったり、時間や結果を意識しすぎて焦る自分にとって、ここで間をとることが日々の気づきと繋がる。 

 

 

 

その中で、

右後方に体重をずらしながら、少し引いたような形で左を向いて話す習慣があることに気づく。自分が右手側に回ると、目を見て話しづらいらしい。

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これもどこから来てるんだろう??という興味。

 

 

 

さらに話を進めるうちに、

PCを良く使う職員室内における席の配置が、習慣に繋がってることに行き着いた。

 

右手が壁。自分の席から左方向に拡がる部屋全体に気を配りながら、PCを操作しているらしい。管理職の年代であることも繋がってるんだろう。

 

 

 

 

 

習慣、要因、不調への繋がりが共通認識となった。

アキレス腱断裂の既往も、持ち合わせていた右優位に荷重するパターンの結果かもしれない。

 

 

 

 

そしてGoalも変わった。

『座位の左右不均衡を整える』から、『左方向に視線を送る際の座位姿勢の組織化』とより具体的な意図を持つものに変わった。

 

 

 

 

左臀部・足荷重に繋がる動きの探求。

最後に、左側へと視線を送る座位の動きの組織化を試みる。

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左下肢を利用した対角線上の体幹屈曲を行うことで、この方の左側に気をくばる生活に繋がりをもつことができただろうか。

 

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スケジュールありきではなく、本人主体で楽しんでもらうための旅のガイド。 

 

行き着いた先々で、新しい興味の先への案内。

 

僕もいつも以上に楽しめた気がする。