急がば回れ、相手を知れ
以前、腰部の不調を訴え来店した女性。
無自覚な腰の強い前弯があり、そこに対して気づきと選択肢を提示していき、その時はすぐ不調は消え終了した。
それから数ヶ月空いた今日。
また戻ってきてしまった。
多くの場面で、
腰痛は自制できるようになってきているようだけど、
・人目にさらされるとき
・緊張したとき
などに自制できずに不調を感じるらしい。
緊張症。
相手にどう見られるか気になる。
こんな気質をお持ちなのは、「初めまして」の挨拶の時から感じていた。
そんな時、吸気位になって胸椎は伸展し、それに腰部もつられている。
『 胸椎を伸展するのは間違いですよ 』 とは言わず、
屈曲も伸展も両方向に動けることでNeutralを探せるようにと、Warmの動きを探求。
特に呼吸について注意を向けていった。
座位姿勢に戻り、
より均一になるように意識しながら、体幹全体を丸めたり伸ばしたり交互に。
これで、普段のクセへの気づきに繋がった。
「緊張すると息を吸いきったり止まってしまうので、それで背中が反ってる」
「背中を反るって、これが普通だと思ってたけど、意味がわかった。」
と本人より、
続けて、
「反ると身体がキツくなっていることに気がついたけど、これは私がずっと意識してきたことで、簡単には手放せないかもしれない。これで姿勢が良いと褒められたこともあるし、ずっと努力してきた方向だから」と。
ご自身が身体と向き合ってきた過去の話。
やっと本筋の文脈と向き合えたのかもしれない。
腰部の前弯は、こうした意識が引き金となっていたのかもしれない。
ご本人が選択肢を得た時点で、僕の仕事は此処まで。
判断するのはご自身だ。
この方のコンテクストに繋がりきらない、
腰部に対する過去の直接的介入が、かえって遠回りをさせてしまったかもしれない。
そして、
いくつかの選択肢から、ご自身で選べる環境を提示することで、やっと本人から本音がこぼれた。
"正しい"を押し付けても、本音は出ない謙虚な方だった。